2020年5月20日更新
世界保健機関(WHO)は、2020年3月11日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「パンデミック」を宣言しました。WHOによると、新たに記録された患者の数は世界的に増加し続けていますが、多くの国で感染率は低下しており、英ガーディアン紙が報じたように、一部の国ではロックダウンや外出制限が少しずつ緩和されています。
世界保健機関(WHO)は、2020年3月11日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「パンデミック」を宣言しました。WHOによると世界的に感染者数は増加し続けています。ジョンホプキンス大学コロナウイルス情報センター(Coronavirus Resource Center)は、感染の状況を把握するための信頼できる情報源です。
世界中のジャーナリストが、人々にウイルスや政府の対策などについて情報を提供する重要な役割を果たしています。一方で、CPJが記録しているように、いくつかの国の政府は独立した報道や、情報アクセスを厳しく取り締まろうとしています。CPJによる記者へのインタビューによると、報道関係者は大きなプレッシャーと緊張に直面し、出張、取材、自分が働いている場所などで感染の危険にさらされる可能性があります。CPJによる最近の報告で強調されているように、ジャーナリストたちは検閲、拘束、身体的およびオンライン上の嫌がらせ、新型コロナウイルス感染症の影響による生計を失う状況に直面しています。
感染症に関する状況が変化し、新たな情報が明らかになるにつれて、関係機関から健康や保健面のアドバイスや感染情報が発表されています。最新情報を把握するため、新型コロナウイルスを取材するジャーナリストは、WHOや各国の保健機関からの情報を確認しましょう。
ジョンホプキンス大学コロナウイルス情報センター(Coronavirus Resource Center)は、感染の状況を把握するための信頼できる情報源です。
ーー現場での安全確保
海外渡航制限のため、メディアの仕事の多くは当面は国内にとどまるでしょう。世界各地で状況は急速に変化しており、あらゆる取材が予告なしに変更または中止される可能性が非常に高いです。
新型コロナウイルス感染症を取材することを計画している人は、以下の安全情報を考慮すべきです。
事前の準備
- 感染リスクを最小限にするため、可能な限り、対面ではなく電話やオンラインでの取材・インタビューを継続するべきです。
- 米国疾病管理予防センター (CDC、Centers for Disease Control and Prevention )によると、高齢者や基礎疾患のある人は健康面で高リスクとみなされます。あなたが該当する場合は人々と接するような仕事には参加しないでください。妊娠中の従業員にも配慮する必要があります。
- 国連事務総長やヒューマン・ライツ・ウォッチが指摘しているように、新型コロナウイルスを報道するスタッフを選ぶ際には、経営陣は特定の国籍に対する人種差別的な攻撃に留意すべきです。
- Business Insiderが報じているように、ロックダウンや外出禁止措置を解除した国の中には、その後再び外出禁止措置を再開した事例もあります。そのため取材中に病気になった場合に備え、あなたの所属する管理チームがどのような支援を計画するか話し合う必要があります。その際には、自己隔離の可能性や長期間にわたる隔離/封鎖区域での隔離の可能性などを考慮する必要があります。
心理的な健康
- 最も経験豊富なジャーナリストでさえ、新型コロナウイルス感染症を報道する際には心理的に苦しむことがあります。管理者は定期的にスタッフの状況をチェックして、彼らがどう対処しているかを確認し、必要であれば支援やガイダンスを提供するべきです。
- もしあなたが新型コロナウイルス感染症の取材を計画しているのではあれば、家族は心配し、ストレスを感じるかもしれません。リスクと懸念事項について話し合いましょう。必要に応じて、家族や所属組織の医療アドバイザーに相談しましょう。
- ジャーナリストがCPJに語った内容によると、新型コロナウイルスについて報道する際、家族や友人でさえも取材の危険性に疑問を持ち、否定的な反応を示すことが多いそうです。
- 特に、医療施設や隔離施設、または感染者が多いエリアを取材する場合、潜在的な心理的影響を考慮しましょう。メディア関係者に関する心的外傷に関する情報は、DART Center for Journalism and Traumaを参照してください。 新型コロナウイルスを取材するジャーナリストのためのメンタルヘルス関連の資料は、 CPJ’s Emergencies’ page をご覧ください。
感染予防と人にうつさないために
現在多くの国では、ソーシャル/フィジカルディスタンスの措置が実施されています。以下のような救急医療サービスや危険性の高い場所を訪問する場合は、事前に現地での衛生対策について問い合わせてください。懸念がある場合は、訪問しないでおきましょう。
● あらゆる種類の医療施設
● 老人福祉施設
● 病人や高齢者、健康上の問題を抱えている人、妊娠している可能性のある人の自宅
● 遺体安置所、火葬場、葬儀
● 検疫や隔離、ロックダウンのゾーン
● 密集した住宅地 (スラムやファヴェーラなど)
● 難民キャンプ
● 感染が発生した刑務所又は拘置所
感染を避けるための基本的な推奨事項:
人と最低2メートルの距離を保ちましょう。咳やくしゃみなどの呼吸器疾患の徴候や症状を示す人や高齢者、基礎疾患のある人、症状のある人の近くにいる人、患者を治療している医療従事者、高リスクの場所にいる人をインタビューする際には、特に注意するべきです。
- (挨拶の際)人と握手、ハグ、キスしないでください。
- インタビューの間は、取材相手の正面ではなく斜めに立ち、推奨される2メートル以上の距離を常に保ちましょう。
- 石けんとお湯を使って、20秒以上、定期的に、きちんと、そして徹底的に手を洗ってください。適切な方法で乾燥させてください。適切に手を洗い、乾かす方法は、WHOのウェブサイトで見ることができます。
- お湯や石けんが手に入らない場合は、抗菌ジェルやシートを使用してください。(CDCは60%以上のエタノールまたは70%以上のイソプロパノールを含むアルコール消毒液の使用を推奨しています。) 定期的な手洗いの代わりに消毒液を使用しないでください。
- 咳やくしゃみをするときは、必ず口と鼻を覆ってください。ティッシュペーパーにせきやくしゃみをした時は、すぐに安全かつ適切な方法で捨てて、手をよく洗うことを忘れないでください。
- BBCで強調されているように、顔、鼻、口、耳などに触れないようにしましょう。
- 他の人が使用した可能性のあるカップ、食器での飲食は避けましょう
- ウイルスは、さまざまな種類の物の表面で存在し続ける可能性があることに注意し、仕事を始める前に宝石類や時計を取り外しましょう。
- 眼鏡をかけている場合は、熱湯と石鹸で定期的に丁寧に洗ってください。
- コンタクトレンズは、眼に触れることによって感染する可能性もあるため、可能であれば、使用を避けましょう。
- どのような服を着るかを考えましょう。衣服は取材後に洗剤を使って高温で洗いましょう。
- 可能であれば、仕事で現金を使うことを避けましょう。クレジットカードやデビットカード、財布を定期的に掃除しましょう。ポケットに手を入れるのを避けましょう。
- インタビューは、常に屋外で行うようにしてください。屋内で取材が必要な場合は、空気の流れがある場所(開いた窓があるなど)を選択し、狭く密閉された空間を避けます。
- 取材前後の移動方法を考慮しましょう。ラッシュアワーの公共交通機関での移動は避け、アルコール消毒剤を活用してください。
- インドのBBCが報道したように、個人や会社の自動車で移動する場合、感染者が同乗者にウイルスをうつす可能性があることに注意してください。窓を下ろして車全体の通気性を確保し、車に乗っている間はフェイスカバーやマスクの使用を検討してください。
- 定期的に休憩を取り、疲労や活力の状況に注意してください。疲れた人は衛生管理で失敗する可能性があります。仕事の前後での長距離運転なども考慮しましょう。
- 感染の影響を受けたエリアを訪れる前、最中、後には必ず熱湯と石けんで手を十分に洗うようにしてください。
- 発熱や息切れなどの症状が出たら、どのように治療を受けるかを考えてください。多くの政府の保健機関は現在、他人への感染を防ぐために自己隔離を推奨しています。あなたが深刻な感染地域にいるのであれば、混雑した治療施設で感染者に遭遇する可能性があります。
- 肉と卵は加熱処理して食べましょう。
機器の安全
機器を介して、ウイルスが広がる可能性は現実的です。厳格な洗浄と消毒体制が常に実施され、守られるべきです。
- ピンマイクではなく、安全な距離からガンマイクを使用しましょう。
- マイクカバーは、使用後に毎回消毒し、洗剤を使って高温で洗いましょう。汚染の可能性を防ぐために、カバーを安全に取り外す方法についてのガイダンス/トレーニングを受けてください。風防タイプのカバーはできるだけ避けてください。
- 低コストのイヤホンを使い、可能であれば、特にゲスト向けには使い捨てるようにしましょう。使用前と使用後にすべてのイヤホンを拭いて消毒しましょう。
- 遠距離レンズを使用して、安全な距離を保ちましょう。
- 可能な限り、ケーブルではなくモバイル機器を使用してください。
- 業務で使う機器をどのように保存するかを検討します。周囲には何も置かず、すべてをケースに戻して蓋を閉じます。(例えば、ハードケース/フライトケースのような箱に保存すると拭くことや清潔に保つことが簡単になります)。
- もし、可能であり、実用的であれば、何らかのプラスチック製のラップ/保護具を機器の外側に取り付けてください。汚染される可能性のある表面積が最小化され、洗浄や消毒が簡単になります。
- 充電された予備バッテリーを携帯して、取材現場で充電を避けることで、汚染される可能性のある危機を減らしましょう。
- Meliseptolのような消毒剤で常にすべての機器を拭き、携帯電話、タブレット、リード、プラグ、イヤホン、パソコン、ハードドライブ、カメラ、プレスパスなども消毒しましょう。
- 機器を保管場所に戻す際には、責任者を明確にし、責任者は装置を安全に清掃する方法について訓練を受けていることを確認しましょう。機材が担当者に返送されず、放置されていないか確認しましょう。
- 取材に車両を使う場合は、適切なトレーニングを受けたチームが取材に参加し、車両内をきれいにしましょう。ハンドル、ドアハンドル、ウイングミラー、ヘッドレスト、シートベルト、ダッシュボード、ボタンは特に注意してきれいにしましょう。
電子機器の洗浄
- 電子機器の洗浄に関する一般的な指針を以下に示します。クリーニングを行う前に、必ず製造元のガイドラインをお読みください。
- すべての電源、デバイス、ケーブルを必ず取り外します。
- 機器の近くに液体は置かず、エアゾールスプレー、漂白剤、研磨剤は使用しないでください。これらは機器の損傷させます。
- デバイスに直接スプレーをしないでください。
- 柔らかくて摩耗させない、毛羽立ちの少ない布を使用します。
- 布を湿らせますが、濡れている状態にしないでください。石けんを布につけて、磨きます。
- デバイスを数回かけて拭きます。
- 開口部(充電ソケット、イヤホンソケット、キーボードなど)に水が入らないようにしてください。
- 清潔で乾いた柔らかい布でデバイスを拭きます。
- 一部のメーカーでは、硬く通気性のない表面の洗浄には70%のイソプロピルアルコールによる拭き取りを推奨しています。
- 器具を消毒する場合は、消毒剤が器具を損傷する可能性があるので、メーカーに確認してください。
詳しいガイダンスについては、この記事を参照してください。
個人防護具(PPE)
個人防護具(使い捨て手袋、フェイスマスク、保護エプロン/オーバーオール/ボディスーツ、使い捨ての靴カバーなど)を安全に着脱するには、最善の安全基準をきちんと守る必要があります。CDCからの一般的なガイダンスについては、ここをクリックしてください。
- 相互汚染のリスクが高いので、ここに記載された対策だけで満足しないでください。疑問がある場合は、取材前に専門家の指導とトレーニングを受けてください。
- 多くの国では、個人防護具が不足しており、入手が困難であり、取材者が使用することで不足につながる可能性があることにも注意してください。
- PPEのサイズが正しいことを確認します。PPEがうまく装着されていない場合、例えばサイズがきつすぎると、防具が引き裂かれたり、動きが制限されたりします。サイズが大きすぎるとドアハンドルや裂け目などに引っかかることがあります。
- 必要最小限の安全仕様に注意して、常に信頼できる個人防護具のブランドを使用してください。インターポールやアルジャジーラの記事が報告しているように、欠陥品や偽造品に注意してください。評価の高いとされるブランドのいくつかは、ここで確認できます。
- 医療施設など感染した場所を取材する場合は、保護手袋を使用してください。ニトリルグローブはラテックスよりも高い水準の保護を提供します。2組を着用して安全性を高めることができます。
- 医療施設のような高リスクの場所を取材する場合、全身の防護具やフルフェイスマスクのような追加の医療用PPEが必要となります。
- 全身のカバーオールの着用においては、着用前に必ずトイレに行ってください。
- 取材によっては使い捨ての履き物を使うか、防水加工のオーバーシューズを使用する必要があります。防水加工されたオーバーシューズを使った場合、安全な方法で廃棄してから現場を離れてください。
- 感染する可能性があると考え、訓練を受けた専門家の監督の下で、すべてのPPEを着脱することが推奨されます。CDCによるPPEを着る場面と脱ぐ場面のビデオは役に立つかもしれません。しかし訓練や監督の代わりに使うべきではありません。
- 手袋、ボディスーツ、エプロン、靴カバーは絶対に再使用しないでください。再利用する機器は適切に除染・消毒する必要があります。使用した全ての医療用PPEは、感染の影響を受けた場所から離れる前に適切な方法で廃棄してください。
マスク
アルジャジーラによって報告されているように、より多くの国で現在、一般の人々にフェイスカバーやマスクの使用を求めたり、着用をアドバイスしていますが、新型コロナウイルス感染症の症状のない一般市民が着用すべきかどうかについては、現在のコンセンサスはありません。CDCは、社会環境において鼻と口を覆うために、顔を覆う布製のフェイスカバーを着用することを推奨しています。医療レベルで使われるマスクは供給不足となっているために奨めてはいません。一方でWHOは、当局からの指示がない限り、または病院のような感染の危険性が高い場所にいたり患者のケアをしていない限り、顔を覆う必要はないと言っています。
正しく使用しないと、実際にマスクが感染源になる恐れがあります。Lancetによる最近の研究では、ウイルスが付着して最長7日間、サージカルマスクに検出可能なレベルのウイルスが残存していることが示されています。この研究によると、マスクを外したり、再使用したり、マスクをしているときに顔に触れることで感染するリスクがあります。
マスクを着用する場合、以下のアドバイスに従ってください。
- もし必要とするのであれば、標準的なサージカルマスクの代わりに、N 95マスク(またはFFP 3)が推奨されます。
- マスクが鼻とあごの角にしっかりとフィットさせ、隙間を最小限に抑えます。顔にしっかりと密着させるために、顔のひげを剃るなど整えてください。
- マスクの安全な使い方を徹底することが大切です。前面に触れないように注意し、必ずストラップを持って取り外してください。マスクに触れた場合は手を洗ってください。
- マスクの再使用はリスクが高いです。使用済みのマスクは必ず密封した袋に入れて捨ててください。
- マスクを外した後は、必ず石鹸とお湯で手を洗ってください。もし手を洗うことができなければ、アルコール消毒液(60%以上のエタノール、または70%以上のイソプロパノール)を使います。しかし、できるだけ早くお湯と石鹸で洗ってください。
- 湿り気が出たらすぐに、清潔で乾いた新しいマスクと交換してください。
- マスクは個人の感染予防の一部にすぎないことを覚えておいてください。定期的にお湯と石鹸で手を洗い、目、口、耳、鼻などの顔の部分に触れないことが大切です。
- 場所によっては、マスクが品薄になったり、価格が高騰したりする場合がありますのでご注意ください。
デジタルセキュリティ
- 政府やテクノロジー企業は新型コロナウイルスの感染を追跡する手段として「監視」を増やしています。Citizen Labによると、その中にはジャーナリストを標的にするスパイウェア 「Pegasus」 を作成したNSO Groupも含まれているそうです。市民の自由擁護団体は、このような監視技術が、今回の健康危機が終わった後、人々を標的にするためにどのように使われるかを懸念しています。トランスペアレンシー・インターナショナルはこのような世界的な動きをウェブサイトで追跡しています。
- 新型コロナウイルスに関する情報が記載されたリンクをクリックしたり、資料をダウンロードしたりする前に、立ち止まってよく考えてください。電子フロンティア財団(the Electronic Frontier Foundation)によると、犯罪者は健康危機とパニックを利用して、マルウェアがインストールされる可能性のある高度なフィッシング攻撃を行っています。
- ソーシャルメディアやメッセージングアプリで新型コロナウイルス関連のリンクをクリックすると、マルウェアがデバイスに感染するサイトに誘導されることがあります。
- 「COVID-19Tracker」 など、個人を標的としたランサムウェアを仕掛ける悪質なアプリに注意してください。
- (WHOのような)知名度のある情報源からの最新情報を示している、と主張する地図にはパスワードを盗む可能性のあるマルウェアが含まれていると報告されています。
- 英ガーディアン紙が報じたように、政府が関与する誤った情報にも注意しましょう。WHOが警告し、BBCが強調していたように、一般的な誤情報にも注意しましょう。WHOのウェブサイトには、神話を打ち消すためのガイド(myth buster guide)が掲載されています。
- メッセージングアプリ上のチャットを通じて共有される新型コロナウイルスに関する情報には、嘘のニュースやいたずらが含まれている可能性があるので注意しましょう。
- Facebookのコンテンツ、人間のコンテンツチェッカーではなく人工知能 (AI) によって調整されており、感染症に関する正当なコンテンツが誤って削除されることもあることに注意してください。
- オンライン会議とプライバシーの問題について参照し、これらサービスがあなたのデータで何を行っているか、どのようなアクセス権を持っているのか、どの程度安全であるのかを調べましょう。自宅で仕事をする人が増えているため、サービスがハッカーの標的になっていることに注意してください。
- 新型コロナウイルスの報道を監視しているとみられる権威主義の体制を持つ国では、報道によってもたらされるリスクに注意しましょう。CPJが紹介しているように、一部の政府は感染を隠そうとしたり、メディアを検閲したりすることがあります。
犯罪と身体的な安全
- オックスファムによると、失業者が増え、最大5億人が貧困に陥る可能性があるなど、世界的な経済状況が悪化する中で、犯罪が増加する可能性は現実的であることに注意してください。
- もし、国際的な取材(下記参照)のために出張できる場合は、目的地の最新の治安状況を調べましょう。米国、ブラジル、ギニア、ウガンダ、ナイジェリア、チュニジア、チリ、イタリア、ソマリア、ガーナ、ロシア、フランス、ニジェールなどの国々では、COVID-19に関連した封鎖措置に対する不満と不安が高まり、暴力事件や抗議が増加し、死者も出ています。
- 多くの都市部は通常よりも人が少なく静かで、警察の抑止力も限界があります。犯罪者がこの状況を利用する危険があります。ジャーナリストは、暴行されただけでなく、言葉による嫌がらせや犯罪の標的にされた事例が報告されています。安全が当たり前だと考えていないでください。
- 地方での報道は特に注意してください。あなたがウイルスを持ち込むのではないかと恐れて、「部外者」 に対して疑いや怒りを抱く人々がいる場合があります。
- 刑務所や拘置所から報道する場合、ジャーナリストは、最近シエラレオネ、イタリア、ナイジェリア、コロンビア、インドで見られたように、新型コロナウイルス感染症に関連して、非収容者が抗議したり、暴動を起こしたりしている危険に注意を払うべきです。
- イラク、米国、アイルランド、インドネシア、エチオピア、パレスチナ、ソマリランド、イランなどの国々では感染症が発生する中、刑務所の収容者数を減らすために囚人を開放しており、犯罪の水準が上昇する可能性があることも認識してください。
- CPJが強調しているように、権威主義体制の国にいるジャーナリストは、新型コロナウイルス感染症について報道する際には、拘禁、逮捕、国外退去の脅威に注意を払うべきです。
国際出張
世界的な渡航制限措置のために、海外出張は非常に困難であり、まれになっています。海外勤務や海外取材が可能な場合は、次の点を考慮してください。
- あなたが活動する地域のすべての医療施設を確認しましょう。ブラジル、インド、パプアニューギニアなどの国で見られるように、医療従事者が、ほとんどあるいは全く予告なしにストライキや抗議をすることがあることを覚えておいてください。
- 医療用PPEの入手方法は限られていたり、存在しない可能性があります。
- 目的地におけるすべての関連する予防接種や病気の予防措置が最新で適切なタイミングであることを確認しましょう。症状に関して混乱しないよう、インフルエンザワクチンの接種を検討しましょう。
- 旅行保険証書を確認してください、新型コロナウイルスに関連旅行の補償を得ることができないかもしれないことに注意してください。多くの政府が様々なレベルの旅行のアドバイスや海外旅行に対する警告を出していることを確認してください。
- 参加予定のイベントの状況を定期的にチェックしましょう。多くの国では、公の集会や特定の人数以上の集会を禁止しています。
- あなたの目的地の既存のまたは今後の渡航禁止措置を確認してください。短期間で変更になる可能性があります。
- 危機管理計画をしっかりと持ち、都市中心部、特定の地域、国全体、またはそのいずれかが予告なくロックダウンされたり、隔離されるかもしれないことを考慮しましょう。
- 世界各地で国境が閉鎖されており、再開された国境も、警告なしに再び閉じられる可能性があります。このような状況は緊急時の対応計画に組み込む必要があります。
- 病気なら旅行しないでください。ほとんどの国際空港や地方空港、その他の交通拠点では、厳重な検診が実施されています。旅行者はほぼ確実に到着時に検査を受け、強制隔離をされたり、自己隔離をすることになります。
- 航空会社が多くの目的地へのフライトをキャンセルしているため、国際的な移動の選択肢は非常に限られています。
- 払い戻し可能な航空券を購入するべきです。報道によると、新型コロナウイルスの影響は多くの航空会社の経営に深刻な打撃を与えています。
- どのような備品を持っていく必要があるか考えてみましょう。パニック買いの事例は減少したように見えますが、マスク、消毒液、石鹸、缶詰食品、トイレットペーパーの将来的な不足の可能性は除外できず、考慮するべきです。ストライキや感染拡大による労働者不足は、目的地の状況を悪化させる可能性があることに注意してください。
- ヨルダンのように水の供給が限られている国では、都市封鎖措置が続いて、夏の気温が上昇するにつれて、水の需要と不足が増加し始めるかもしれないことに注意しましょう。
- 渡航先の最新のビザ状況を確認してください。多くの国で、ビザの発行を止めていたり、既に発給されているビザの効力が停止されていることに注意してください。
- あなたが新型コロナウイルスに感染していないことを証明するために、目的地の国が医療証明書を要求しているかどうか確認しましょう。ここにいくつかの事例があります。
- 柔軟な旅行スケジュールを持ち、健康チェックや検温ポイントなどによって世界中の空港や一部の駅、港、バスステーションでなどで時間が必要になることを考慮しましょう。
- 国によって、特定の空港やターミナルでのみ外国人の入国を許可していることに注意して、到着する場所の最新の状況を確認しましょう。
- 現地の情報を常に確認し、訪れている国内都市部での移動制限に関するニュースを確認しましょう。
取材後
症状の兆候がないか、継続的に健康状態を確認しましょう。
- リスクの高い取材をした後は、ほぼ確実に自己隔離が必要になるでしょう。政府の関連するアドバイスをチェックしてください。
- 新型コロナウイルスに関するの最新情報や、あなたの拠点と目的地の両方で実行されている検疫や隔離の状況を確認しましょう。
- あなたが住んでいる国の感染率にもよりますが、帰国後14日間は、身近にいる人や会った人の名前や数を記録することを検討しましょう。症状が出た場合に、接触した人を確認することに役立ちます。
ーー症状が出た場合
- 新型コロナウイルス の症状が軽度でも認められた場合は、あなたの管理チームに連絡し、空港またはその他の交通拠点から自宅まで適切な交通手段を取るよう協力してください。ただ単にタクシーに乗ってはいけません。
- 症状が始まってから少なくとも7日間は家から出ないでください。そうすることで、地域の他の人々を守ることができます。
- 事前に計画を立てて、他の人に助けを求めましょう。雇用主、友人、家族に必要なものを準備してもらい、玄関の外に置いておくように頼みましょう。
- 可能な限り、自宅内では人と2メートル以上の距離をとってください。
- できれば一人で寝てください。
- 他の人と同居している場合には、14日間の隔離期間を守るべきです。関連するガイドはここにあります。浴室、トイレ、台所を使用するときは、相互の感染を避けるために特に注意が必要です。
- 石けんとお湯を使い、20秒以上、定期的に徹底的に手を洗いましょう。
- 高齢者や基礎疾患がある人などにはできる限り近づかないでください。
- 隔離期間中に症状が著しく悪化しない限り、保健当局に電話して自己隔離する必要はありません。
CPJのオンラインのセーフティキット(Safety Kit)は、ジャーナリストやニュースルームに、身体的、心理的、デジタル上の安全に関する基本的な情報とツールを提供します。暴動や選挙取材に関する資料も提供しています。